ワクワクのきっかけをつくり活気のある世の中へ!提携を決断させた人柄とバイブス
左:株式会社Rebase 代表取締役 佐藤 海様
法政大学キャリアデザイン学部に入学後、大学を休学しシリコンバレーへ渡米。
De Anza Collegeにてビジネスの勉強をする傍ら、様々なスタートアップにインターンとして参加し、約3年間の留学生活で経営や起業の知見を得る。
留学中に法政大学を卒業し、帰国後の2014年4月に株式会社Rebaseを設立。
右:株式会社Libertyship 代表取締役 揚松 晴也様
1986年生まれ、宮崎県出身。専門学校にて航空整備士の資格を取得後、仙台空港にて航空整備士として従事。2009年 埼玉県の会席料理店に転職、店長、調理師として働く。2012年 銀座の組織人事コンサルティングファームで営業、セミナー運営等の経験を積む。2013年 株式会社アラタナへ入社。EC構築パッケージの営業及び、ディレクターとして100サイトを超える自社ECサイト構築プロジェクトに参画。2019年 株式会社Libertyship設立。世界8カ国にまたがるECサイトのリニューアルプロジェクトマネジメントや、月間1,000万PVを超えるWEBメディアのWEBマーケティング等を実施。
世の中に「こと」や「価値」を生みだすスタートアップ企業
まずは、Rebase様とLibertyship様の事業内容について教えてください。
佐藤:Rebaseは、2014年からインスタベースというレンタルスペースのマッチングプラットフォームを運営しています。インスタベースは、「場所を探し、使いたい人」と「場所を持ち、提供したい人」をマッチングするサービスです。
ビジネスモデル自体は非常にシンプルで、インスタベース上で成立した予約金額の一部をスペース掲載者から手数料としていただくのみの、完全成果報酬モデルのサービスです。これまでに10年以上サービスの運営を行ってきましたが、おかげさまでレンタルスペースは全国で約3万9,000件掲載できており、47都道府県すべてに展開しています。
掲載されているスペースは貸し会議室やセミナールーム、ワークブースといったビジネス用途に最適なスペースから、ヨガやダンス、撮影などに最適な各種スタジオやパーティールーム、キッチン付きスペースなど、多岐にわたります。そこに加えて最近増えてきているのが、Libertyship様との取り組みにもつながるサウナスペースです。
インスタベース全体では月間で大体13〜14万件ほどの予約が発生しており、非常に多くの方々がレンタルスペースを利用して、なにかしらの活動やアクティビティが行われています。
設立から10年が経過し、次の10年、新たなステージを見据えて、今年4月にビジョン・ミッション・バリューを刷新しました。「Where It Starts / ことのはじまり」を新たなビジョン、「Get Together / 和をひろげる」を新たなミッションとし、様々な「きっかけ」を生み出す企業でありたいと考えています。
揚松 :Libertyshipでは「世の中に新たな価値をつくる」というミッションを掲げており、主に3つの事業を展開しています。
- プロデュース事業
- ライフスタイルデザイン事業
- サウナテック事業
プロデュース事業は、オンラインとオフラインの両軸で展開しています。オンラインに関してはECサイトやWebサイトのデザインだけでなく、コーディングやWebマーケティングの支援を行っています。オフラインにおける事業は、宮崎県の青島エリアを中心に「AOSHIMA BEACH PARK」や「AOSHIMA PICNIC CLUB」といった、いわゆるリアルな場所の施設プロデュースです。
ライフスタイルデザイン事業は、お客様に対してのサービス提供がメインです。具体的にはカフェやレストラン、キャンプ施設の運営などがあります。
サウナテック事業においては、バレルサウナという樽型のサウナを日本で初めてつくらせていただきました。現在はそれぞれの土地の木材を使った、地産地消のサウナづくりというモデルで展開しています。バレルサウナにおいてはグッドデザイン賞をいただいており、ビジネスモデルに対しても多方からお褒めの言葉をいただきました。
サウナに関してはものづくりだけでなく「SAUNA YARD」と呼ばれるエリアづくりも行っています。また、IoT活用により、サウナをほぼ無人で管理できるシステムも展開しています。この技術を発展させたものが「SAUNA PARKING」というプロダクトであり、現在Rebase様と一緒に展開していけるよう取り組んでいる事業です。
強みだった汎用性が事業の成長により課題へと変わる
今回の資本業務提携にいたる前の課題を教えてください。
佐藤:Rebaseでは、掲載しているスペースの汎用性をどのように生かしていくかが課題でした。
レンタルスペースは、さまざまな場面で活用できる汎用性があります。たとえば、一見会議室に見えるスペースを利用してママ会やパーティーを開いても良いですし、ボードゲームを楽しんでいただいても構いません。
もちろん、スペースを利用するにあたって、掲載いただいている方々の受け付けられない用途も定義されています。そのうえで、レンタルスペースをどう使うかは、利用者の想像次第と言えます。
たしかに、1つのスペースにおいてさまざまな利用用途が考えられますよね。
佐藤:基本的には、お客様の想像次第で使い方の幅を広げられる汎用性が、これまでの成長を支えてくれていたと考えています。一方で世の中の人が当たり前のように、レンタルスペースを活用したライフスタイルになっているかというと、まだまだそうとは言えません。なぜなら、利用者がレンタルスペースをどのようなときに使えばいいのか、イメージできていないことが多いからです。
これまでは事業を成長させる過程で、スペースの汎用性を強みとしていました。しかし、ここから飛躍的に成長していくためには、見た瞬間に使い方を理解できるようなわかりやすさが、レンタルスペースの領域に必要だと考えています。
Libertyship様においては、どのような課題があったのでしょうか?
揚松:これまでにさまざまな事業を展開してきましたが、継続的に成長するためには自分たちの力だけでは難しいと感じていました。
Libertyshipでは、以下のような体験価値を創出しています。
- サウナを通じた新しい体験価値
- 飲食におけるコンテンツをつくることによって生まれる新しい体験価値
- クライアントワークとしての新しい体験価値
大きく3つの軸があるなかで事業として成長性を担保しようと考えたときに、Libertyshipのような小さな規模で行っている現状は、強みであると同時に、ある意味でデメリットと言えます。実際にLibertyshipが継続的に成長していくためには、以前から自分たちの力だけではなかなか難しいと感じていました。
サービスを運営していくための人材面だけでなく、成長するうえでドライブをかけるパートナー、事業を成長させていくための資金の問題もあります。そのような背景で、より事業を成長させるためにご一緒できる会社を探していました。
決め手になったビジョン・ミッション・カルチャーとバイブス
複数の企業とやり取りをされていたなかで、最終的にRebase様との資本業務提携を決断された理由について教えてください。
揚松:Rebase様のビジョン・ミッションやカルチャーが、Libertyshipと非常にマッチしていると感じたところが大きな理由です。
Rebase様には資本業務提携を締結する前に宮崎へお越しいただいて、一緒にサウナへ入りながらお話をしたこともありました。ご一緒する企業を選ぶ際は、事業の相性の良さだけではなく、一緒に仕事をしていく仲間としてイメージできるのかどうかが非常に大事だと考えています。
私は前職で、M&Aを受ける当事者の立場になったこともあり、提携して良かった面やうまくいかなかった面を体感しています。その際に、個人的にはビジョン・ミッションやカルチャーが一番大事だと感じました。Libertyshipは人のいる風景づくりをテーマにエリアプロデュースを行ってきましたが、Rebase様とは目指している世界観も合致しているため、ご一緒することでさらに可能性が広がると感じました。その点で、Rebase様に関しては非常にマッチしていると感じ、一緒に仕事をする仲間としてイメージできたのが大きいです。
一緒に仕事をする仲間としてイメージできたとのことですが、具体的にはどのような点から感じられたのでしょうか?
揚松:なにかの出来事があったという話ではないため難しいのですが、アバウトに言うとバイブスです。
Rebase様以外にもいろいろな会社様とお話をしましたが、なかには一緒に進めていくイメージが想像できないこともありました。Rebase様においては一緒に進めていく未来を描けたというのが大きいです。
Libertyship様からバイブスのお話もありましたが、Rebase様も同じような印象を持たれましたでしょうか?
佐藤:我々も同じような印象を持ちました。Rebaseも提携先となる会社を探す際に、ビジョン・ミッションや目指す世界観が合うのかどうかを非常に重視しています。そのため、仮に事業シナジーがあっても、価値観や世界観が合わない会社様とはご一緒するのが難しいと考えています。今回は、ソーシング・ブラザーズ様を間に挟み何度も議論を重ねていきましたが、Libertyship様に関しては価値観が合うなと感じました。
また、会社同士の相性は大事ですが、私とLibertyshipの代表取締役である揚松さんとの関係性も重要だと考えています。私自身は、揚松さんの人柄が非常に魅力的だと感じました。仕事をするうえで、誰と働くかは非常に大事だと思います。その点で、Libertyshipという会社はもちろんのこと、揚松さんに魅力を感じたため、ご一緒したいと考えていました。
たしかに、誰と働くかは重要ですよね。事業におけるシナジーという点では、どのようにお考えだったのでしょうか?
佐藤:Libertyship様が展開されているサウナというサービスは非常にわかりやすく、Rebaseで考えている先々の展開とも相性が良いなと感じていました。
日本ではすでに一定のサウナ人口があり、まだまだ伸びる余地があると考えているなかで、事業上のシナジーを見出すことができました。インスタベースにはサウナカテゴリーがあり、利用される方が増えている状況でしたので、事業を展開するうえでもシナジーがある点は決め手の一つでした。
加えて、Libertyship様の着眼点や企画力にも魅力を感じていました。Libertyship様はサウナ事業だけをずっとやっていきたくて、会社を立ち上げたわけではありません。サウナ事業以外にもエリアプロデュースや、いろいろな人たちが住みやすく生き生きとして暮らせる街づくりを行っており、そのような着眼点に加えて形にする力もあります。こういったクリエイティビティが、Rebaseにない魅力だと感じています。
我々も、インスタベースというサービスだけのためにRebaseを立ち上げたわけではなく、ビジョンにもある通り、日本中いたるところで「ことのはじまり」が起こっているような、活気ある街づくり、国づくりの一端を担いたいと考えています。このような観点で、無から有を生み出す力は非常に重要だと捉えており、Libertyship様とご一緒することで、我々が目指しているものが実現できると感じました。
決断の難しさと先を見据えた準備の重要性
今回の資本業務提携を通じて苦労した点や、学びがあった点を教えてください。
佐藤:短期間でいろいろと決断を重ねなければいけなかった点は、苦労したところと言えるかもしれません。提携の話が進んだあとで、最終的な返答をする時期がゴールデンウィークを挟み約1ヶ月しかなく、スケジュール的にタイトだという印象が強く残っています。
学びとしては、社内への説明の仕方やディールの進め方に関しては、今後工夫していく余地があると感じました。我々にとっては初めてのM&Aであり、話を進めるうえでは、社内の関係者間で十分な説明が必要とされました。一方で、Libertyship様の提携候補となる会社様が他にもあるなかでスピード感も求められる等、Rebaseでコントロールできる要件が少ない状態でした。
本来であれば、Libertyship様といろいろな取り組みを行ってから、提携の話を進めていくといった方法もあったと思います。ただ、実際はさまざまな制約があるなかで、我々は少ない材料のなかで判断をしなければなりませんでした。
物事を進めていくにあたって、心から「絶対大丈夫」という状況を整えるのは現実的に難しいものです。誰も確定した未来がわかる人はいない中で、最終的には決断をしなければなりません。
たしかに、100%リスクを排除できれば理想ですが、現実的には難しいように感じます。
私がつくったフレーズではないものの「判断と決断は違う」という言葉があります。判断とは、良し悪しを判別できるだけの材料が揃った状態でくだすものです。一方で決断とは、リスクとリターンがあるなかで意思決定を行うものです。
すべてのリスクを排除してから進めようとした場合、非常に時間がかかります。Libertyship様と手を組みたいと思っている会社はRebaseだけではありません。大きな取り組みを進める場合は、どこかで勇気を振り絞り決断する必要がありますので、そこの難しさを感じました。
Libertyship様の方では、苦労した点や学びがあった点についていかがでしたか?
揚松:資本業務提携を進めるにあたり、会社の体制を整える重要性について、あらためて感じました。もともとLibertyshipは、私が1人で立ち上げた会社です。そのため、最初は悠々と私のできる範囲で、楽しいことをやっていればいいなと考えていました。
しかし、いろいろなメンバーが入ってきてくれたことで、新しい取り組みが数多く進みました。メンバーの頑張りもあり、今では複数の事業を展開できています。一方で、会社が成長していく過程において、社内の体制を整えるところまでは十分にできていなかったように感じています。実際に、Rebase様にもご迷惑をおかけしたところがありました。
そういった背景から、先々M&Aを含めて事業を成長させようと考えているのであれば、社内体制を含めて準備をしておく必要があると感じました。
ワクワクを形にして日本中へ展開したい
今回の取り組みを通じたうえでの、今後の展望について教えてください。
揚松:Rebase様と同じ方向を向いて事業を進められるという点は、非常に大きいところだと思います。お互いを補完しつつ、それぞれやりたいことをさらに加速できている点は、短い期間でありながらも実感できているところです。
今回提携を結んだことで、数年先にどのようなことが起きているのかという点で非常にワクワクしています。一方で、ワクワクをきちんと形にしていかなければならない責任も感じていますが、Rebase様とであれば協力しながらしっかりと形にしていけると考えています。
佐藤:ビジョン・ミッションにもある通り、いたるところで「こと」が連鎖的に起きている状態をつくりたいです。なぜかというと、私自身が今よりも活気ある世の中にしたいと考えているからです。
最近は「日本には未来がない」とか「少子高齢化が進んでいる」など、暗い話が多いように感じますが、不満を言っていてもなにも変わりません。
私は以前留学しましたが、その際にあらためて日本が好きだと思いました。ですので、活気ある日本にしていきたいと考えています。そのためには、人をワクワクさせるような仕掛けや環境づくりが必要であり、まだ見ぬ体験を提供できるかが重要だと考えています。
人は経験があることを繰り返しても、ワクワクしないはずです。見たことがないなにかを体験したり考えたりするからこそ、ワクワクするのではないでしょうか。そして、このワクワクは人に力を与えてくれます。今後の展望という意味では、そういったワクワクを日本中に展開して行きたいです。
日本中にワクワクを展開していくためには、さまざまな取り組みを行っていく必要がありそうですね。
佐藤:そういった意味で、もし我々の取り組みや目指している世界観にご興味を持っていただけましたら、ぜひご連絡ください。事業提携はもちろんのこと、一緒に働いてみたいという方からのご連絡もお待ちしております。
Rebase様やLibertyship様のような環境の会社で働くには、どのな方が向いているのでしょうか?
佐藤:まだ見ぬ体験や価値をつくるといった、無から有を生み出すことに対して楽しめる方であれば、非常におもしろい環境だと思います。
揚松:世の中にいろいろなワクワクのきっかけをつくったり、活気がある街づくりをしたりすることに対して、興味を持たれている方が向いているように感じます。
Libertyshipが携わっている「AOSHIMA BEACH PARK」は、10年前に当社の役員が総合プロデューサーとして、宮崎市、宮崎市観光協会様とともに立ち上げました。青島は新婚旅行のメッカとして栄えたものの、10年前までは観光客数も減少し、廃れた観光地のイメージがついてしまっていました。今ではそんなイメージは変わり、若い人たちも集まるようになりました。結果的に移住者が増えたことで、それぞれの技術を持った人たちによってお店も生まれています。青島に住みたい人たちが増え、以前と比べて土地の価値も2〜3倍に上がりました。
Libertyshipはサウナやエリアプロデュースなどの事業を通じて、街づくりを行っています。Rebase様はスペースの利用とまだ見ぬ価値の提供によって、ワクワクのきっかけをつくっています。Rebase様とLibertyshipが一緒になることで、世の中にさまざまなきっかけを提供したり、ことを起こしたりしていけるはずです。活気のある街づくりに興味がある方には、ぜひご連絡いただきたいですね。