事業概要について
「思いやりとテクノロジーで、一人ひとりの『幸せな暮らしの意思決定』を支え続ける。」をPURPOSEに掲げるニフティライフスタイル株式会社(東証グロース:4262、以下「NLS」)。インターネット黎明期から手掛けるWebサービス事業の技術とノウハウを活かし、不動産テック・ウェルネステック・デジタルマーケティング領域にて「行動支援サービス事業」を展開している。NLSは2024年5月に外壁塗装のマッチングプラットフォームである株式会社ドアーズを買収した。前年にも一社買収しており、NLSには事業と人が集まっている。
(写真=ニフティライフスタイル株式会社 代表取締役社長 成田 隆志 社長)
成田社長について教えてください
2002年に当社親会社であるニフティ株式会社(以下、「ニフティ」)に入社しました。以来、Webサービス事業を中心に、ビジネスアライアンスやWeb広告事業、PR支援を行ってきました。もともとは、タイミングを見て起業することも考えていたのですが、手掛けていたWebサービス事業に将来性を感じていたので、「機会があればスピンアウトしたい」という意欲を周囲にもよく話していました。
2017年、ニフティは親会社が富士通株式会社から株式会社ノジマに変わったタイミングで、ネットワーク事業の強化へと方針転換しました。その際の事業再編により、当時展開していたマーケットプレイス型の事業の多くは整理対象となったのですが、温泉事業や不動産事業については成長の可能性があるということで、これらの事業を承継し、スピンアウトする形で設立されたのが当社です。私は新会社の設立時に社長に抜擢され、その後ブランディングやさらなる成長に注力することで、企業価値を高める努力を続けています。
2024年5月にM&Aで買収したドアーズについて
買収のキーポイントを教えてください
事業内容はもちろんですが、人材、タレントの獲得も重視しています。ドアーズ買収においては、経営人材のほか、外壁塗装領域におけるマッチングプラットフォームを運営しているマーケティング、顧客接点の強化に資する営業やコールセンターといった人材が揃っており、これらは当社の既存事業の拡大に寄与すると考えました。特に、ドアーズの社長には事業を大きくしていきたいというモチベーションがあり、今後のNLSの成長に必要な存在であると感じています。
今後の方向性について教えてください
ドアーズがグループインしたことで、当社不動産テック領域は周辺領域への展開に広がりが見え始めました。外壁塗装領域に関しては引き続き注力し、従来のマッチングサービスに加えて、今後は成約課金モデルを拡大していく予定です。また、外壁塗装を行うタイミングには、内装の劣化であったり、エアコン等家電の買い替えといったニーズもあると考えています。その需要に応えられるようなサービスの立ち上げ等、ドアーズを起点とした更なる事業や提案を増やしていけたらと考えています。
既存事業とのシナジーについて教えてください
今回の買収により、既存サービスの充実・拡大といったシナジーが期待できます。ドアーズにはコールセンター部門があるため、カスタマーサクセスを通じてユーザーの潜在的なニーズをキャッチできるようになると思います。また、既存サービスである「ニフティ不動産」とドアーズ、それぞれの強みを活かした新サービスの創出も視野に入れています。顧客の課題に寄り添い、解決策を提案できるようになれば、どのサービスも長期的にご利用いただけると考えます。
M&Aが成功している理由を教えてください。M&Aではキーマンが抜けてしまうという課題が散見されますが買収してから今日までいかがでしょうか
戦略上、人材配置を慎重に考える必要があります。対話を重ね、適性を見極めながら配置を行う姿勢は崩しません。今のところM&Aによって生じた離職は見られません。
さらに、ショートスパンであるDD中に自社のPMI人材を交え、未来の事業展開について徹底的にディスカッションを行っています。その結果、買収後のスムーズなPMIを実現できています。
昨今のM&Aを行う理由として、人材採用をM&Aによってカバーするという戦略があると思います。
非常に効果的な戦略であると考えています。当社が提供するWebサービスは、個々のスキルや経験に依存する属人的な業務が多く、ユーザーに幅広い価値を提供し続けるためにも、いわゆる「タレント」を取り入れることは非常に大切です。また、業界内で豊富なネットワークを持つ人材を自社に迎え入れることで、新たな視点や強みを得ることも可能となります。さらに、経営人材の内製・育成には時間も労力もかかるため、M&Aを用いて即戦力となる人材を確保していく戦略はこれから増えていくと思います。
人起点で考える成田社長
これまでのインタビューで「人材」という言葉が何度も出てきました。成田社長は特に人材に対しての思いをお持ちなのでしょうか
企業の成長において何よりも重要なのはやはり人材だと考えています。私自身、ニフティ在籍時に事業整理や組織変更などを経験しており、人材こそが事業の成果を左右することを実感しています。長期的な成長を見据えた配置を行うことで、既存事業も買収先の事業も、より力強く成長することができると確信しています。
当社パーパスにある「思いやり」は、すべてのステークホルダーに対する思いを込めたものでもあります。
今回のM&Aにとどまらず、これからもユーザーやパートナー企業、そして社員との関係を大切にしながら、「思いやりとテクノロジーで、一人ひとりの『幸せな暮らしの意思決定」を支え続ける。』というパーパスを実現してまいります。